秋もたけなわ 〜前哨戦
         〜789女子高生シリーズ

         *YUN様砂幻様のところで連載されておいでの
          789女子高生設定をお借りしました。
 


      5



  悪い子は いねがー、と (こらこら)


悪さをする不良どもを片っ端から薙ぎ倒し、
訊いた話じゃあ、高校生レベル以上の大人を相手にも怯まずに、
引ったくりだの恐喝犯だの、
その身ひとつのケル・ナグールで撃退する、
それはそれは恐ろしい美少女たちのユニットが、
このQタウンで秘密裏に暗躍しているとかで。

 暗躍って…それってどこの暇人の世直しだ?
 いやいや俺が聞いた話じゃあ、
 金を巻き上げては舎弟にしてるんだってよ。
 そっか、だから“暗躍”なのか…

などなどと。
核心に近づくほど話が枝分かれするのは、
伝言されるうち、
肝心な真実が勝手に脚色されたってことじゃないのかと、

 『どーして怪訝に思わないんでしょうかね?』

いかに曖昧でウソっぽいかで
そこへ気がつきそうなもんだろに、と。
甘い色合いの赤毛も愛らしい、
今日はセピア系でまとめた装いの少女が小首を傾げ、

 『都市伝説っていうのは、
  こうやってとんでもない話になってくんでしょうね。』

つややかな金の髪へ小粋なベレー帽を乗っけた、
所作や口調が何とも品のいいお嬢様が、
青玻璃の双眸を甘くたわめて微笑って見せる。
そのすぐ傍らでは、
凛然としたお顔がハリウッドスターのように印象的な、
すらりとした白皙の美形がうんうんと頷いており。
金色のくせっ毛が軽やかな足取りに合わせて揺れ、
秋の陽を受けて目映くけぶる。
都会の街なかでも秋の訪のいを風に感じる、
そんな頃合いのストリートにて。
大声を上げるでもなければ、
奇抜ないで立ちをするでもないまま。
なのに不思議と、
行き交う人の眸を自然と集めてしまう。
そんな存在感あふれるお嬢様たちが、
仲睦まじくも午後のお茶なぞ楽しんでおいで。


  ―― よしか?
     今日のあと残りの半日ほどは……


お嬢さんたちが警部補殿から
“まずは”と授けられた作戦というのは、
何食わぬ顔をして、
昼下がりのQタウンで伸び伸びと振るまいなさいということ。
そして、そこへ注意事項として付け足されたのが、

  ―― どんなに気になることが目端に掛かろうと飛びつくな。

あまりに直裁な言いようだったため、

 『失礼しちゃいますよね。』
 『〜〜〜。(頷、憤、怒)』
 『まあまあ、二人とも…。』

人をやんちゃで落ち着きのない子犬みたいに〜〜っと、
ついのこととて
憤然としてしまった約2名だったのも無理はなかったものの。
痴漢を取っ捕まえるのに、
いきなり派手な足蹴りが飛び出したほどの彼女らなので、
そこはそういう直接的な注意を授けたくなっても仕方がなかろう。
それを踏まえた上で、
本物の姿や行動をせいぜい印象づけておけと言われ。
だが、それがどういう効果を醸すかまでは、
まるきり言われなんだものだから。
勘兵衛の思惑とやら、少々見くびっていたものの、

 『大したものですね。』
 『…うん。』

これほど際立った美少女たちであり、
日頃だってそれなりに目立っちゃあいたんだろう。
当人たちがついぞ意識しないままだったこともあって、
ちいとも気づいていなかったのではと言われれば
それまでかもしれないが。
それにしたって、

 『さりげない振りのつもりでしょうが、
  わざわざ前へ回って来て
  顔を確かめられたなんてのは初めてですよね。』

 『芸能人への二度見みたいですよね。』

幼いころはそうでもなかった。
だが、前世の記憶が蘇って以降は、
当時には必要な蓄積だったのか、そういう気配への察し、
今流に言えば“空気”を読み取る感度も
幾分か鋭くなった身なもんで。
今のように心して注意を払えば、
どの位置から意識や注目を向けられているのかくらいなら、
背中を向けていても察しがつく彼女らなのだとか。
ちなみに、
久蔵に至っては気殺の術だってこなせるのだそうで。

 『それって 何へ必要だったんでしょか?』
 『………?(う〜ん?)』

  そっちの余談は 今はさて置いといて。(笑)

だがだが今日は、
そんな才を繰り出すどころじゃあないノリの注目が、
あちこちから痛いほど降りそそぐ。
ここまで執拗に顔や姿を確かめられるとは、
確かに異常事態じゃああるなぁと。
半月ほど不在にしていた間に
どれほど周囲からの把握が変わっていたのやら、
身をもって感じてしまった三華様たち。
それほどまでに恐れられているものか、
いやいやまだ明るいうちですし、
話題の…ってだけだと思いますよ?などと。
あくまでも品のいい所作ながら
こそこそ額や頬を寄せ合うようにし
スタンドカフェのカウンターにて囁き合えば。

 どんな相談、いやさ、
 どんな世直し会議を展開中か とでも思われたのか。

そちらも仲間内とダベりつつ、
首を伸ばして見て来る若い衆までござったのには、
吹き出しそうになる口許を隠し切るのが大変で。

 面倒なことになってるなぁとか、
 こうまで大々的に構えて検挙するほどのことかなぁとか。

自分たちの大胆不敵な暴走を押さえるという真の目的へ、
多少は面映ゆさもあってのこと、
ついつい咬みつくような難癖をつけてしまってた平八までもが。

 『何だか妙な案配になってたんですねぇ』

さりげないつもりでしょうが気がついてますよと、
次に覗きに来た人へ
揃って あっかんべえでもしてやりましょうか、なんて、
しまいには面白がってしまったほどであり。





  やがては西日も傾いて、
  陽が落ちたそのまま ストンと暗くなる 秋の宵が
  音もなくの静かに訪れる。



ビルの窓が次々に明るみ、
壁や街路樹やらへほどこされたイルミネーションが瞬き始め。
あちこちの店々でアンドン看板に明かりが灯る頃ともなれば。
怪しい動きが さっそくもぞもぞしだしたぞと、
あちこちで警戒していた皆様からの情報が集まってくる。
学生同士の諍いばかりが標的とは限らない、
オヤジ狩りっぽい騒ぎへ割り込むとか、
水商売への言い掛かりや嫌がらせへの仲裁に入るとか、
さもなくば、引ったくりを追いかけるとか。
同世代相手の代物には限らない、
年長者が起こしたトラブルにも首を突っ込みかねぬ連中だそうだし。
何と言っても目撃者は避けての“暗躍”らしいから、
一旦は引き分けられた騒ぎへこそ重々用心するようにと。
本格始動へ向けて、
各所への連絡に余念がないらしい勘兵衛へ、

  「……勘兵衛様。」

司令官とその助手と、今回の大目玉である女子校生らと。
そんな、一部変わった顔触れが詰めていた統括車にて。
待機に飽きた久蔵と平八が外の空気を吸いたいと
揃って車外へ降り立った隙をつき。
なで肩へと添う ドルマン袖が優しい印象の、
ニットのジャケットを羽織った七郎次が、
インナータイプのヘッドホンを片側だけ耳へ装着し、
情報が集まる管制盤もどきのノートパソコンを開いて、
運転席で眺めていた勘兵衛のお隣、助手席へと乗り込んでくる。
てっきりこの子もそちらと行動を共にしたと思っていたので、

 「んん?」

おやと、仄かに目許を見張った壮年殿だったのへ、
何ですよぉと、口許を尖らせる幼さよ。

 “……。”

娘らだけで街をぐるんと回って、
まだ見ぬ相手への、ある意味“挑発行為”をして来てから少々経っており。
今度は、真犯人らに対して“帰ってしまった”風を装いたいのでと、
人目につくなとの指示の下、行動範囲を制限されている彼女ら。
場末過ぎても良からぬ奴が足場にしている可能性があるがため、
普段からもあまり利用者のいない立体駐車場を突然の改装中ともってゆき。
少々人相の怪しい、もとえ頼もしい風貌の地域課の方に、
出入り口のガードマンを装ってもらうことで、
人が寄り付かぬよう、
即席の人為的結界を張ってしまった手筈も鮮やかな。
高い視点から広角的に事態を見渡しての作戦運用のみならず、
現場での即妙な機転という点へも相変わらず卒のない島田警部補ではあったが、

 「陽が落ちれば冷えますよ?」

自分たちもそれぞれに、
上着や靴下などを買い求めたり借りて来たり、
陽が落ちると一気に肌寒くなるのへの対処は怠りない。
こうまで遅くなるのは想定外だった彼女らで、だが、
勘兵衛の側は、夜回りとなろう策を立てた張本人。
予測のうちだっただろうに、
自身へは特に何かしらの用意もないのが気になった白百合さん。
とはいえ、

 「ああ。だが、さほどは堪えぬよ。」

女性と違い、そちら様はきっちりとしたジャケットが常の装い。
昼の間に暑い想いをする方が堪えるくらいだと言いたいか、
精悍なお顔へ 案ずるなとの穏やかな笑みを乗せて見せる。
吹きっさらしの半分戸外という駐車場は、
半端に屋根のある場所なせいか、
陽が落ちてしまうと周囲も車内もずんと暗くなる。
開いたままなPCの液晶画面の明るみが、
互いの顔を仄かに照らすのみであり。
エンジンも切っているがための静けさに気がついて、でも。
これまたお互いに、
相手がそれに気づいてしまうのは困るなぁなんて。
意味合いも方向性も大きく違う趣旨ながら、
お互いに仄かな悪あがきをしてしまう。

 「……。」

今の自分よりうんと長い これまでの人生の中、
様々な葛藤なり錯綜なりを抱えて重ねてきたのだろう勘兵衛の、
表情豊かというのともまた異なる、
だがだが、深みのある男臭い面差しを。
下級生たちからこっそりと、
夏にほころぶ それは華やかな花の名を冠された美少女が、
まるで視線が吸い込まれるような想いに抗えず、
白い頬にうっすらと朱を上らせつつも じいと見つめておれば。

 “……。”

そんな七郎次の一途な表情に、
祈るような真摯さと、
それを隠しもしない初心で幼い率直さとを
嗅ぎ取ってしまった勘兵衛の側としては。
愛しいと愛おしいの狭間にたゆとう、優しい甘さを感じつつも。
まだまだ実体験も乏しい、ともすれば青々しい幼子相手、
大のおとなが心騒がすなんて疚しいのでは…とする、
柄にない臆病さが醸す心許なさへこそ、
ほろ苦い苦笑が洩れる。

  何ですよ?
  いや…。

とりたてて深い意味のあるやりとりじゃないのは、
さすがに七郎次の側でも判っていること。
それでも、はぐらかされたとは思うのか、
もうもうもうと、唇かんで口許をたわませる。

 そんなお顔が、ふと懐かしく思えた。

そう、かつての自分らも、
こんなひとときをそりゃあ何度も過ごしたもので。
まだまだ新米もいいところだった副官の、
必死な懸命さを幼いなあと苦笑したり。
そうかと思えば、
自分のような癖の強い大タヌキが、
ちょいと心なくも誹謗されたの悔しがるのへ、
青いなぁと微笑ましく思ったり。

 だが、それも最初のうちだけで。

彼はじきに、何が起きても余裕で微笑っているようになり。
勘兵衛と同じ目線に立って、だがだが、
彼ほどの遠くは見通さず
足元周辺を余さず把握する方の周到さ綿密さを身につけた。
双璧二人がこなしていたこと、二人よりもこまやかに。
時には、勘兵衛へと雑音を近づけさすまいとし、
時には、勘兵衛の視界を邪魔だてするものを薙ぎ払い。
身を粉にしてもという働きをこそ気づかせまいと、
どんな辛苦も苦にせずに、
嫋やかに微笑っていられるようになった。
そうなると、不思議とこちらが微笑っていられなくなり、
二人きりのときはついつい、苦虫咬んだような顔も増えたと思う。
どしました?と訊かれても
それこそ甘えてか“判らぬか?”と無言で通せば、
困ったようにやはり微笑っていた七郎次で……。

 「…勘兵衛様?」

つい、思考の深みへまで意識が沈みかかっていたらしく。
何かしら察して声をかけて来た七郎次も、
今は素直に“どうしましたか?”と案じただけだろう。
だが、やがては…職務中にというらしくない不自然さを、
まずはと拾われ、そこから案じられてしまうのだろか。
彼のことを想っての放心などあり得ぬと、
むしろ意識の外へ置かれていて当然だとし、
こちらを押し立ててばかりになり、自身を日陰へ引いてしまう。
そんな大人しやかさを当然ごとのように身につけて。
古株の刑事仲間の よく出来た奥方たちがそうであるように、
辛かろうが寂しかろうが微笑っていられる、
自身を擦り減らした末のよな、
そんな彼に またもや成り代わってしまうのだろうか。

 こんな平和な世界で再会しても
 なんてまあまあ進歩のないことだろか。

年齢を重ね、経験も積んで、
聡くなったし人性もこなれて気づいたのが、
栄達にも功名にも関心は薄く、
難儀なことへほど つい目がゆく
ずんと困った気性をしている自分の性(たち)で。
辛抱するばかりの貧乏くじにも慣れているし、
そういう性分なのは仕方がなくとも、
周囲の、大切な人々へまで気遣わせては何にもならぬ。
前の生にて重々思い知ったはずだし、
だからこそ、愛しい君を不幸へ巻き込まぬようにと
やや強引に袂を分かつたはずだのに。
それをこそ こそりと後悔した自身の未練や業が、
こんな再会を、もしかして招いたというのだろうか……。

 置いていかれて寂しかったと
 再会できたのが嬉しくてしょうがないと

既に壮年となっていて、随分とひねこびた自分と違い、
出会ったばかりと同じほど、
それは無垢で真っ直ぐな七郎次は、まるで、
今度こそ間違えるなと
勘兵衛に問うているようでもあって……

 「……勘兵衛様?」

走行中でなし、シートベルトもしないまま。
それでも、体に添わせた造形のシートは
背もたれや座面の縁が
個々で微妙に立ってて邪魔じゃああったが。
前を向いての深々と
座ってたわけじゃあない少女の肢体は、
少し身を倒しての二の腕を取っただけで、
思うより軽々と、そしてやすやすと、
こちらの懐ろの深みへと取り込めてしまっており。
ふわり、思いがけなくも軽かった身は、
本当にそこにいるのかが不安になったほど。

 「あの…。」

彼女にすれば突然のこと、
それでだろうか、まずは総身が凍っていたものの。
それがほどけて我に返れば返ったで、
今度は込み上げた含羞みのせいだろ、
身じろぐ気配がこそりとし。
さすがに頬が赤くなったか、甘い香りが立ったのへ。
こちらもやっとのこと、
実感していては世話はない。つか、

 “大人げないわな。”

ああ、いつだってこうなのだなと。
どうあがいても、孤高を通して突っ張ってみても、
気持ちのどこかで求めは止まず。
結果、甘やかされる側へ落ち着くように
我らは出来ているのかも知れぬ。
そうと思えば大した器だ、
過日の自分は、
菩薩のような彼から畏れ多くて逃げたのかもなと。
そんな思わぬところへ想いが帰着し、
やれやれという苦笑で我に返れたようなもの。

 「あのあの、勘兵衛様。」
 「んん? おお、済まぬな。驚かせた。」
 「いえ、あの。ケータイが…。」

インナータイプでも外へと音が漏れているほどに、
佐伯さんだろう、呼びかけのお声がしているし、
車窓の向こうには、
少し離れていたひなげしさんと紅ばらさんも
揃って駆け戻って来るのが見える。
どうやら、
ここまでの大仕立てを構えて待ち受けていた“標的”が
ようよう現れたようであり。

 「……さようか。」

大当たりであった采配を、
胸を張って誇ってもいいはずが。
どこか名残り惜しげな、残念そうなお声になったのへ、


 “えっとぉ……。//////”


アタシ自惚れちゃいますよ?
いいんですか? 勘兵衛様、と。
含羞んでいた割に冷静なのねと見せかけて、
その実 やっぱり、
ちゃあんと舞い上がってた白百合さん。
そんな人たちが気を取り直して立ち向かった、
Q街にはびこる三華様がたの偽者退治は、
お空に掛かったお月様がウィンクしてほめたくれたほど、
上首尾に終わったのでありましたvv




      ◇◇◇



そして本題。
偽者が動くだろう想定区域を
所轄の皆様で浚うこと 小一時間で、
何と本命にビンゴしてしまった結果が、
冒頭のひと騒動だったわけで。

 「まあ、小癪な小細工を ちまちま重ねたり、
  ネット上の噂を片っ端から潰して甲斐なしとするよりも、
  効果は抜群ではあるだろうよな。」

遅くなるとは訊いてないとお怒りになったほど、
親御様以上にお嬢様の素行へ敏感な、保護者代理のお医者様、
紅ばら様こと三木さんチの久蔵お嬢様を迎えに来た榊せんせえが。
話を知ったときはああまで怒り心頭だったのに、
今では悪い手じゃあないと褒めてる辺り。

 「臍曲がり。」

セダンの後部へとドアを開いて差し上げたのに、
それをスルーし、とっとと車の向こうへ回ったお嬢様から、
通り過ぎざまに そんな一言、ぼそりと言われてしまっちゃあ。

 「そんな言い方をするのはどの口だ。」
 「〜〜〜〜。」

そこは口じゃないぞと、
助手席へ乗り込んだその途端、
ちょんと鼻を摘ままれ、む〜んと膨れた久蔵だったのもまた、
傍から見る分には…いやいや、間違いなくの十分に楽しそう。

 「そうなのか?」
 「ええ、だって…。」

シートベルトを締めるのも、
お膝へブランケットを掛けてもらうのも、
そのまま兵庫さんが手をつけるのに任せてるでしょと。
こちらもお迎えに来てくれた
五郎兵衛さんへと耳打ちしているひなげしさん。

 「子供じゃないけどそれでもね。
  怒っているなら、
  相手が榊せんせえであれ、
  久蔵はムキになって自分で片付けます。」

癇性な子供のような振る舞いだけれど、
そこはそれこそ、
相手が限られた“特別”な甘えが出てのこと。
あれで構ってもらうの大好きですよ?久蔵はと、
日頃からも可愛いところをいっぱい知ってる
お友達ならでは感慨を口にした平八へ。

 「ヘイさんは、久蔵殿のお姉さんというところなのだな。」
 「え? やだ、そうでしょかvv////////」

あんなしっかり者さんのお姉さんだなんて、
意味なく褒めてどうしますかと
キャッキャとはしゃぐお声がドアの中へと吸い込まれる。
それぞれのお迎えと共に帰ってゆくお友達を見送って さて。
事情聴取や何やも済んで、こちらも後は帰るのみの白百合さん。
所轄の皆様への申し送りも済んだ、
島田警部補がお家まで送って下さることとなっているのだが、

 「……えっと。///////」

先程の突然の〜〜〜の余韻が込み上げて来たものか。
お顔が真っ赤っ赤になった七郎次お嬢様。
あんな男らしい、頼もしいお人が、
何でまたいきなり狼さんになりかけたんだろと………


  勘兵衛様、
  こういう時ほど 口が回らないんだから。
  ちゃんと前後の心境とか、綿々としたものがあったと語らなきゃ、
  何かを隠したくての不意打ちかしらなんて、
  選りにも選って最愛の乙女から
  斜め横へ着地した勘違いをされかねませんぜと。
  深まりつつある秋を思わす冴えた夜空が、
  こそりと溜息ついてた宵だった。






    〜Fine〜 12.10.17.〜10.23.


  *ええ、そうなんです。
   実を言えば、騒ぎ自体よりも、
   なかなか進まぬ誰か様たちのことへ触れてみたかったお話でした。
   ここんとこ、勘兵衛様ってば忙しすぎでしたしね。

   そして、前哨戦なんてサブタイトルがついていたのは…。

   「だって、月末には学園祭ですし。」
   「その直前にはハロウィンもありますものねvv」
   「……♪」

   催しも盛んな秋のクライマックスに、
   一体何が起きるやら…というのを構えていたのですけれど。
   思ってたよりこのお話が長引いたので、
   予定通りに進められるか、今から少々微妙です。(こら)

ご感想はこちらへvv めーるふぉーむvv

メルフォへのレスもこちらにvv


戻る